ハリネズミの保護
2015.10.29 -[その他・院長のつぶやき・飼い主様お役立ち情報]
おはようございます、井本稲毛動物クリニックの井本です。
先日、千葉市美浜区内でハリネズミが保護されました。
おおよそですが、生後まだ2〜3ヶ月程度の子ハリネズミです。
脱走したのか?それとも捨てられたのかはわかりません。
いずれにせよですが、脱走はすべての飼い主様に気をつけていただきたいことですし、
捨てるなんて行為はまったくもって言語道断です。
今後ハリネズミの飼育が禁止されないためにも、ハリネズミを既に飼っている人も、これから飼いたいと思っている人にも、今回は外来生物法について知っていただきたいと思います。
外来生物法、正しくは
「特定外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律」という名称です。
本来は日本にいない海外の動物(外来生物)が日本の生態系を乱したり、
農業や人体などへの影響・被害を防ぐ目的で平成16年に制定されました。
特定外来生物は飼育はもちろん原則禁止されています。
現在ハリネズミ属の全種が環境省によって特定外来生物に指定されています。
ハリネズミ属は現在以下の4種。
ヨーロッパに分布する「ナミハリネズミ(別名ヨーロッパハリネズミ)」
東ヨーロッパ〜中央アジアに「ヒトイロハリネズミ」
中国〜朝鮮半島に「アムールハリネズミ(別名マンシュウハリネズミ)」
地中海周辺地域にNorthern white-breasted hedgehog(和名なし)
このうちマンシュウハリネズミは既に日本国内で野生化したことが確認されています。
栃木県では1994年にナミハリネズミの確認事例が報告されています。
ハリネズミといっても他にも色んな種類のハリネズミがいます。
現在、日本で飼育可能なハリネズミはアフリカハリネズミ属の「ヨツユビハリネズミ」のみ。
アフリカハリネズミ属ヨツユビハリネズミ しめじ
ハリネズミ属のみなさんは野性的な顔立ちと風貌ですが
アフリカハリネズミ属のヨツユビハリネズミは優しい顔立ちです。
愛嬌のある風貌が人気の秘密なのでしょう。
「ぐぬぬ…、虫…ちょうだい…!」
これがしめじの精一杯の野性的な表情です。
しかしアフリカ出身だから日本では生きていけないと思うのは間違いです。
日本でも亜熱帯地域では定着する可能性が十分にあります。
飼っていたハリネズミが脱走してしまい、または捨てたのちに帰化してしまった場合、
外来生物法にもとづき「特定外来生物」に指定され、
ペットとして飼育すること自体が法律で禁止されてしまいます。
そうならないためにも飼い主様一人一人の責任ある行動を切に願います。
昨今、YouTubeなどインターネット上でハリネズミを外で散歩させる動画を見受けます。
ハリネズミは毎秒約1.8メートル(時速換算すると時速約6km…人間の大人が歩く速度と同等)の速度で走ることができますので、茂みや側溝など、人間の目と手が届きにくい場所に潜り込まれると見失う可能性があります。
絶対に迷子にさせないでください。
最後になりますがハリネズミは他にも色んな種類がいます。
そのなかでもヨツユビハリネズミがやっぱり一番かわいい、ということでよろしいでしょうか…?
井本稲毛動物クリニック
井本 暁