セキセイインコのメガバクテリア症
2016.11.15 -[その他・小鳥の診療記録・飼い主様お役立ち情報]
こんにちは、最近だんだん気温が下がって鳥たちも体調を崩しやすくなってきていますのでお気を付けください、
井本稲毛動物クリニックです。
本日は、吐いて体を膨らませて元気がないセキセイインコちゃんのご紹介です。
2歳の女の子。動物病院を受診するのは初めてとのことです。
目を細めてなんだか苦しそうです。
頭の羽毛も吐物で汚れてボサボサになっているのがわかります。
カゴのあちこちに吐いたゴハンが飛び散っていました。
糞便検査でメガバクテリアの菌体が大量に観察されました。
細長い長方形の物体がいくつも見えます。
鳥の胃の中に住む酵母であることから、(Avian[鳥] Gastric[胃] Yeast[酵母])…AGYとも呼ばれています。
感染部位は胃なので、重度の胃炎や胃拡張を起こして吐き気を生じます。
吐き気だけでなく軟便や下痢、血便、食欲低下などの症状も出ます。
メガバクテリアの治療には抗真菌剤が有効ですので、お薬での治療がメインとなります。
今回のセキセイインコちゃんは来院時の体重が27gとかなり痩せてしまっていたのですが、治療を進めていくうちに30gまで体重が戻ってくれました!
メガバクテリアの治療には数週間を要しますので、まだまだ闘病中ですが早く良くなってくれることを願うばかりです。
メガバクテリアはどこからやってくるのか?
一般的には親鳥が雛鳥に吐き戻してゴハンをあげる時、親から子へゴハンと一緒にメガバクテリアが胃の中へ侵入します。
また、同居している感染鳥の糞に排泄されたメガバクテリアを摂取してしまうことでも感染しますので要注意です。
おうちにお迎えしたばかりのセキセイインコちゃんは必ず鳥の診察が可能な動物病院で健康診断を受けてください。
発見が遅れると胃の障害が大きくなり、慢性胃炎から胃腫瘍にまで発展することもあります。
井本稲毛動物クリニック
井本 暁
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