ウサギの不正咬合
2017.12.6 -[その他・ウサギの診療記録・飼い主様お役立ち情報]
すっかり陽が短くなってきました、空気が冷たくなってきますので暖かくお過ごし下さいね、
こんばんは、井本稲毛動物クリニックです。
今回ご紹介するのはウサギの「歯の病気」です。
ところで、ウサギの歯は一生伸び続けるということをご存知でしょうか?
彼らは前歯で硬い草や木の皮などをかじって、奥歯ですり潰して食餌をします。
もともと粗食に耐えるよう進化してきたのですね。
ところが、昨今のウサギさんの食餌事情はというと…ラビットフードばかり食べて牧草をあまり食べてくれない子が多いです。それだけならまだしも、ドライフルーツやクッキーなどのオヤツばかり与えられている子も見かけます。
ラビットフードもオヤツも、あまり噛まずに飲み込むことができます。
柔らかいものばかり食べて噛むための奥歯が使われずにいると、どんどん間違った方向へ伸びてしまうのです。
この写真は、間違った方向に伸びてしまった結果奥歯にトゲができてしまい、
なんと伸びすぎた奥歯がベロに刺さってしまった子の写真です。これは痛い…
口から大量出血と食欲不振が理由で来院されました。
特殊な器具でウサギの歯を切ってトゲをなくしてあげると、食欲はすぐに戻ってくれました。
血液検査で見られた出血による貧血も、その後の再診では認められなくなり、経過は良好です。
もともと草を食べるために進化してきた生き物ですから、
柔らかいものばかり食べて起こる歯の病気は「生活習慣病」と言い換えても構わないと思います。
ウサギには草をたくさん食べさせてくださいね。
ウサギの健康長寿の秘訣はなんといっても草ですから。
もちろん、チンチラ、モルモット、デグーなどの小型げっ歯類でも同様のことが言えます。
井本稲毛動物クリニック
井本 暁
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