フェレットの全身性コロナウイルス感染症
2018.1.6 -[その他・フェレットの診療記録・飼い主様お役立ち情報]
今年も飼い主様と動物たちにとって良い1年となりますよう願っております。
井本稲毛動物クリニックです。
今日ご紹介させていただくのは、
フェレット全身性コロナウイルス感染症(Ferret Systemic Corona Virus)です。
これまで下痢や嘔吐を起こすフェレットの腸コロナウイルスはよく知られていた病気でした。
しかしながら、同じウイルスの仲間で猫伝染性腹膜炎(Feline infectious Peritonitis:FIP)に極めてよく似た、全身感染を引き起こして様々な臓器でできものを作るフェレット全身性コロナウイルス感染症が2010年に国内で初めて報告されたのです。
フェレットの新興感染症(比較的新しい感染症)として認識されているものの、まだまだ情報が少なく有効な治療方法も見つかっていないのが現状という恐い病気です。
フェレット全身性コロナウイルス感染症になってしまうフェレットの多くは若い子に多いことがわかっています。
他にも症状としては
・体重減少
・疲れやすい
・食欲がない
・嘔吐
・下痢
・お腹にしこりが触れる、またはお腹が膨れてきた
などが挙げられます。
症例は1歳の男の子。
食欲はあるけど何となく元気がない、そしてお腹にしこりがあるということで来院されました。
超音波検査の結果、お腹の中に約3センチ程のできものを確認。
その後、月に1回の定期検診をおこなっていましたが増大傾向にあるため開腹手術によって摘出をおこないました。
※臓器の写真のため色を変えております。
なんとか無事に手術を乗り切ってくれたものの、その後に実施した特殊な病理の検査結果によって
フェレット全身性コロナウイルス感染症が確定してしまいました。
免疫力を賦活化する動物用漢方薬や、炎症を抑えるステロイドなどによる治療を実施したものの、残念ながら経過は良くありませんでした。
まだまだ治療方法も確立されていない恐い病気、しかも若い子に発生する病気が存在するということをフェレット飼いの皆様に知ってもらいたく、紹介させていただいた次第です。
おうちに迎えて間もない子はぜひ、動物病院で検査を受けてくださいね。
井本稲毛動物クリニック
井本 暁
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※本年より、日曜日および祝日の午後も休診とさせていただくことになりました。
ご不便おかけいたしますが何卒、宜しくお願い致します。